PJ2026
令和8年度安全保障技術研究推進制度で、3DPTec統合センター長の中野教授が率いるAMに関する基礎基盤的研究課題が採択されました。
本研究では、適材適所最適化設計・異方性カスタム化により、力学特性に代表される機能性を発揮するための最先端3DP材料基盤技術を構築します。世界初の3DP技術として「形状・結晶配向・組成」の同時制御を実現し、航空機用組成傾斜タービン翼モデルを提案します。
研究代表者:中野 貴由 教授(工学研究科 マテリアル生産科学専攻 / 3DPTec統合センター長)
採択区分:タイプD(タイプS相当)
研究期間:2026年度~2030年度(5年間)
令和8年度 採択研究課題の詳しい情報についてはこちら(PDF)
本課題は、申請時に大阪大学における厳格な多段階での学内審査のもとで、軍事目的ではない平和利用の基礎基盤研究であることへの認定を受けたうえで応募し、採択されました。
3DPTec統合センターは、国が経済安全保障の強化・推進の観点から創設した大型研究開発プログラム「経済安全保障重要技術育成プログラム(K-Program)」に、複数テーマで中核的に参画しています。本プログラムは、先端的な重要技術の研究開発から技術実証までを迅速かつ柔軟に推進するものであり、金属積層造形(AM)分野においても大型の予算のもとで国家規模の研究開発体制が構築されています。
3DPTec統合センターは、金属AM分野における大学としての国内最大規模の研究拠点として、複数の産学官連携テーマにおいて材料科学・プロセス科学の基盤研究を主導しています。
国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)が推進する本プログラムは、航空機エンジン等の高温高圧タービン部に用いられる耐熱超合金において、レアメタルの他国依存を低減し、我が国の国際競争力と技術的優位性を強化することを目的とした大型プロジェクトです。
3DPTec統合センターは、Ni基超合金をはじめとする耐熱合金の積層造形に関して長年にわたり蓄積してきた組織制御・プロセス最適化の知見を活かし、本プロジェクトに参画しています。電子ビーム粉末床溶融法(PBF-EB)による耐熱超合金の積層造形技術を担当し、データ駆動型合金設計と組み合わせた新規超合金の創出、および直接完全リサイクル技術の確立に取り組みます。

日本電子 JAM-5200EBM 電子ビーム金属3Dプリンター(PBF-EB)
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進する本事業は、統合型金属積層造形システムの確立を目指し、造形技術・金属粉末・設計技術などの要素技術を一体的に開発するとともに、品質保証の規格化・認証基準の策定を行い、オンサイトでの高機能部品製造・納期短縮を実現する生産プロセスの確立を目指す大型プロジェクトです。3DPTec統合センターは、本事業において以下の2テーマに参画し、金属積層造形の学術基盤と社会実装の双方を牽引しています。
NEDO K-Programの詳しい情報についてはこちら
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テーマ1:溶融池プロファイリングに基づく高速・高精度を両立した造形技術の開発
(「高度な金属積層造形システム技術の開発・実証 ~オンサイト製造の実現に向けて~」)
3DPTec統合センターは、本テーマにおいて金属積層造形プロセスの学術的基盤を担い、造形中の溶融池をリアルタイムにプロファイリングする技術の研究開発を主導しています。高速造形と高精度造形の両立は、金属AMの産業適用における最重要課題の一つであり、溶融池の動的挙動の理解とフィードバック制御への展開を通じて、次世代の造形プロセスの確立を目指します。
本テーマでは、産業界との密接な連携のもと、レーザー粉末床溶融法(PBF-LB)を主たる対象とし、3DPTec統合センターが保有する金属3Dプリンタおよび評価装置群を活用した実験・解析が進められています。
大阪大学 研究代表者:中野 貴由 教授(工学研究科 マテリアル生産科学専攻 / 3DPTec統合センター長)
コンソーシアム代表機関:川崎重工業株式会社
主な共同実施先:NTTデータ、NTTデータ・ザムテクノロジーズ、日本積層造形、日本電子、先端力学シミュレーション研究所、東北大学

AMCM M290-1 FLX(FDR)金属積層造形装置
テーマ2:高性能・高機能な製品・部材製造を目的としたワイヤ・レーザDED方式金属AM技術の研究開発
船舶や航空宇宙分野への金属積層造形技術の用途拡大が進む中、造形速度の高速化や造形品の高精度化・大型化といった多様な要求に応える技術が求められています。本テーマでは、メートル級の大型製品に焦点をあて、ワイヤ・レーザDED(指向性エネルギー堆積法)方式を用いた高速造形技術と欠陥レスな高品位造形技術の開発に取り組み、メートル級大型造形システムによる生産性の向上を目指します。
3DPTec統合センターは、本テーマにおいて大阪大学の実施機関として参画し、DED造形装置を活用した造形実験・組織評価を実施するとともに、長年蓄積してきた金属AM材料の凝固組織・力学特性に関する知見を活かし、造形品質評価・向上技術や材料開発において中核的な役割を果たしています。アプリケーションとしては、船舶用プロペラやロケット用部品など、大型かつ高性能が求められる製品・部材の製造技術の確立を目指します。
コンソーシアム代表機関:三菱電機株式会社
主な共同実施先:ナカシマプロペラ、近畿高エネルギー加工技術研究所、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、熊本大学、東邦金属、広島大学、大阪大学

三菱電機 AZ600 ワイヤ・レーザDED造形装置
(研究領域名:革新的力学機能材料の創出に向けたナノスケール動的挙動と力学特性機構の解明)
自然界が創成した骨組織は、特有の階層化異方性構造によって、動的かつシビアな環境においてさえ最適な強度特性を発揮します。
我々の研究グループは、金属3DPにより独自にナノ~メソ~マクロにわたる3DP特異界面(「ナノ~メソ自己組織化界面」と「メソ~マクロ人工界面」に分類して定義)から成る多階層界面構造を導入することが可能であり、3DP特異界面が力学機能を支配する因子であると考えています。
本研究は、こうした骨組織に学び、金属3Dプリンティングにより形成が期待されるナノ~マクロにわたる特異界面での強化機構を解明し、フィジカル空間とサイバー空間での解析の連携に基づく特異界面の自在な設計・導入により、力学機能を人為的にカスタム制御した革新的材料の創出を目指します。
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「超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント」
金属3Dプリンタは一般に、CADデータから型の製造を介さずに部材を製造できること、従来加工法では困難な複雑形状部材を製造できること、切削と比べて材料の歩留まりが良いこと、などを特徴とすると認識されています。それに加えて、単結晶状材料が得られるなど、材質制御法としても他にはない特徴を有しています。
本領域では、その特徴の背後にある超温度場下での結晶成長を、凝固速度1m/s以上にも及ぶ「高速エピタキシャル成長」や、絶対安定性の存在に注目して、先端的その場観察や分析などの実験科学および数値シミュレーションやデータ科学などの計算科学の連携により解明します。さらに、それらにより得られる知見を基に、高品質単結晶の3DPなどの新技術の学術的基盤として超温度場材料創成学を構築します。研究対象は金属や合金だけでなく、セラミックス、半導体など種々の材料にも拡げて展開し、知見の一般化を図ります。
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欲しい性能から必要となる材料の構造・特性を提案し、かつその実現可能プロセスの提示を可能とする、Society5.0の実現を目指した統合型材料開発システムを構築する。更に、我が国が強みを持ち、今後重要性を増す先端構造材料・プロセスに展開する。「逆問題への対応」、「先端材料・プロセスへの適用拡大」、「産学官連携の拠点形成」に取り組み、以下を目指す。
・要求される性能から構造・特性を提案し、これを実現する材料・プロセスを最適化するための逆問題MIの手法を開発
・CFRP、耐熱金属粉末プロセス等の先進的な構造材料・プロセスへと適用先を拡大
・逆問題MIを産学官で開発し、材料開発を加速するための拠点を構築
C1 Ni基合金の3D積層造形プロセスの開発
Ni基合金の3D積層造形プロセスは、部品形状・材料物性に革新をもたらす先端プロセスであり、発電用ガスタービン向け燃焼バーナーなどへの適用が期待されている。しかしながら、本プロセスが要求する複雑多岐に渡るパラメータの最適化が非常に難しいのが現状である。本研究では、3D積層造形プロセスMIにより見いだされる新規Ni基合金をフィジカル空間にて製造実証することを通じ、燃焼バーナーの高耐久化を目指す。
C4 高性能TiAl基合金動翼の粉末造形プロセス開発と基盤技術構築
需要が急増しているTiAl製低圧タービン動翼を設計の自由度が高い粉末プロセスにより開発することを目標に、材料工学と情報工学の融合により、その開発に資するMI基盤の構築(順問題)と検証(逆問題)を産学連携にて実施する。大学が設計し、企業側が製造する無二の「カスタマイズ粉末」を金属粉末射出成形法(MIM)とAMに同時に適用し、MI基盤の逆問題への適用と検証はMIMにて行い、それらの知見を将来の産業力強化に生かす。
総合科学技術・イノベーション会議が自らの司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて、科学技術イノベーションを実現するために、2014年に新たに創設されたプログラムです。
社会的に不可欠で、日本の経済・産業競争力にとって重要な課題10テーマが採択されました。

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- 2026年10月20日




